法定後見について⑤ ー後見制度の「財産管理」とはー


小径を歩く老夫婦

 

後見人の仕事は大きく分けると2つあります。その1つが「財産管理」です。
本人の判断能力が低下すると、預金通帳の保管場所を忘れてしまったり不要な高額商品を購入させられたり…と、以前は適切に対処していたことが十分にできなくなってしまう場合があります。後見人は、本人の財産や収入を確認し、収支のバランスを考えながら生活する上で必要な支払い手続きをします。通帳や印鑑の保管、銀行の手続きなどを本人に変わって行います。そうした手続きを記録して家庭裁判所・第三者機関に報告し、確認を受けます。食品や生活用品その他、日々の買い物は、本人が自分ですることができます。そのために後見人は銀行からお金を引き出して本人に生活費として渡します。将来の収支バランスを考え、適切にお金を使ってもらう支援が、財産管理なのです。

 

後見人が行う「財産管理」の例

重要書類の保管 ・通帳、定期預金証書、印鑑、登記識別情報、保険証書、年金手帳、各種書類の保管
・請求書、領収書、振り込み控えなどの保管
財産の把握・管理 ・郵便物や書類を通じた財産の把握
・収入と支出を計算して、現在の収支管理と将来の計画を作成
・銀行や証券会社、年金事務所などに後見人がついたことの届け出、後見人の印鑑の届け出
収入の受け取り ・年金の受け取り、年金事務所での手続き、年度更新など
・高額療養費、高額介護サービス費などの還付金の手続き、受け取り
・入院保険などの保険金の受け取り手続き ・家賃収入や個人年金などの受け取り
支払い ・公共料金、介護サービス費、医療費など様々な費用の支払い、振り込み
・自動引き落としの契約、手続き
本人が使うお金 ・現金の引き出し、本人への引き渡し
・施設や買い物を代行するサービスにお金を預ける
不動産の管理 ・火災保険の手続き  ・バリアフリー工事などの契約
・庭の手入れや清掃の契約  ・賃貸借契約、契約更新、管理料の支払い
・必要に応じ家庭裁判所の許可を得て不動産を売却、解約
税金 ・固定資産税の納付  ・所得税や住民税の申告、納付、非課税の申告
相続 ・遺産分割協議に参加、本人が受け取る遺産の確保
・名義変更や不動産の登記手続き
記録・報告 ・現金出納帳、収支報告書、収支計画書、財産目録などの作成
・家庭裁判所、成年後見サポートセンターへの定期報告
その他 ・生命保険、医療保険の更新、見直し、保険料の支払い
・限度額認定などの負担金額を減らす手続き  ・墓地管理のための手続き、支払い
引き渡し ・本人死亡後、相続人への財産の引き渡し
・(相続人がいない場合)相続財産管理人を選任する手続きと財産の引き渡し

 

2024年06月21日