法定後見について④ ー判断能力の度合いー

法定後見の3つの類型

 

認知症等による判断能力の低下の度合いは人それぞれ違います。そのため、法定後見では判断能力の度合いを3段階に分け、「本人以外の介入を最小限にする」ことを原則としています。

財産管理や生活の組み立てが一人では困難な場合は「成年後見」
日常の買い物はできても銀行取引や不動産の売買など重要な行為にサポートが必要な場合は「補佐」

助言を受ければ重要な法律行為に意思表示や判断ができる場合は「補助」です。

後見人の呼び名もそれぞれ「成年後見人」「保佐人」「補助人」と変わり、与えられる法的権限の範囲も差があります。後見人をつけるかどうかについて、「成年後見」と「補佐」の場合は本人の同意(賛成の意志)は不要です。仮に本人が反対したとしても、本人を守るために親族などが手続きをして家庭裁判所が認めれば、後見人や保佐人がつくことになります。しかし判断能力が残っている「補助」の場合は本人の同意が必要です。
また、「成年後見」の場合は本人の同意なしにほぼすべての代理権が後見人に与えられますが、「補佐」と「補助」では家庭裁判所での手続きで本人の意志を確認し、必要最小限の代理権しか与えられません。

なお、「成年後見・補佐・補助」のどれに該当するかは、医師の診断書を目安に家庭裁判所が決定します。

 

法定後見の3つの類型

  成年後見 補佐 補助
判断能力の状態 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者
制度利用につき
本人の同意
不要 不要 必要
同意権・取消権 日常生活に関する行為以外の
行為 
 取消権が自動的に付与
重要な法律行為 

 同意権が自動的に付与
重要な法律行為で
家庭裁判所が定めたもの
→ 本人の同意が必要
代理権
財産管理・生活の組み立てに
関するすべての法律行為

→ 代理権が自動的に付与
財産管理・生活の組み立てに
関する法律行為の中から、家庭
裁判所が定めたもの
→ 本人の同意が必要
財産管理・生活の組み立てに
関する法律行為の中から、家庭裁判所が定めたもの
→ 本人の同意が必要

2024年06月20日