明治民法では、現在の「成年後見制度」に当たるものとして「禁治産・準禁治産制度」という制度がありました(禁治産とは、自らの財産を治めることを禁ずる、という意味です)。
この制度は判断能力が不十分な人の個々の状況に合わせる運用が難しく、また国の権力により私有財産の処分を禁じられ無能力者と扱われること、またその状況を戸籍に記載されるなどの問題があり、利用実績は少ない状況でした。
その後、急速な核家族化、高齢者増等の時代背景から2000年4月に介護保険制度が施行されました。
それまでは役所等が措置的に介護サービスを決定していましたが、介護保険制度により利用者が介護サービス事業者(ヘルパーサービス、デイサービス、ショートステイ、介護施設入所などを提供する事業者)と契約をしてサービスを利用できるようになりました。
措置から契約への移行に伴い、契約行為に支援が必要な人への対応が求められるようになったこと、また障害者福祉の充実といった観点から関連する法律が整備され、成年後見制度は介護保険制度と同じ2000年4月に
施行されました。
こうした経緯から、介護保険制度と成年後見制度は「車の両輪」といわれることがあります。