後見人のもう1つの仕事に「生活の環境整備(身上保護)」があります。
判断能力の低下によって身の回りのことを自分で決めることが難しくなった人の住まい、医療、介護、食事、余暇、買い物など様々なことに関する選択と決定をサポートし、生活環境を整える支援をします。その人の心身の状態や生活を踏まえて適した住居や施設を選んで契約をしたり、福祉サービスを検討して利用契約をしたりします。また定期的に面会をして、本人の意志や生活状況を確認したり、住居や医療などの環境が適切か判断することも大切な仕事です。
後見人はその人の思いを汲み取り、その人らしい生活ができるよう財産の管理と生活に必要な環境の整備を行います。
後見人が行う「生活の環境整備」の例
本人のことを知る | ・本人の生活歴、病歴、心身の状態、し好などの把握 ・本人の家族、介護医療関係者からの情報収集と連携 ・本人の意志を引き出す関わり ・生活状況の確認 |
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住まい | ・高齢者住宅や施設に関する情報収集 ・住まい探し、入所・入居手続き ・電気、ガス、水道などの使用停止、開始手続き |
医療 | ・受診結果や病状の把握、治療方針、治療法の確認と選択の支援 ・入院の手続き、契約 ※医療行為の同意はすることができない ・健康診断の手続き ・リハビリの手配、契約 ・精神科医療保護入院の同意(成年後見人・保佐人) |
介護・福祉 | ・ケアマネジャーや相談支援事業所との契約 ・介護、障害福祉サービスの情報収集、サービスの選択決定、利用契約 ・サービス利用状況の把握、ケアプランやサービス計画、個別支援計画の確認 ・要介護認定や福祉サービス受給の手続き、障害者手帳の手続き |
余暇活動や 日常生活 |
・嗜好品などの購入契約、手配 ・余暇活動に関する支払い、付き添いサービスの手配 ・本人が就労する場合は雇用契約(本人の同意が必要) |
関係者との やりとり |
・キーパーソンとの打ち合わせ、情報交換、連携 ・今後の生活を検討する相談会議への参加 ・本人らしい生活、安全な生活のための相談、調整 ・必要に応じて関係者に要望、改善の依頼をする |
報告 | ・後見事務計画書、報告書、経過に関する記録の作成 ・家庭裁判所、成年後見サポートセンターへの報告 |
その他 | 上記の「生活の環境整備」に関する訴訟行為など |