認知症や障害のある家族をサポートする過程で、手続きに「本人確認」が必要となり、始めて成年後見制度を知る方も多いと思います。ここでは、後見人が必要となる場面をいくつか挙げてみたいと思います。
・認知症がある親の預貯金の引き出しや口座解約
「キャッシュカードがない」「暗証番号がわからない」「定期預金を解約したい」という場合、
家族であっても本人以外は手続きをすることができず、後見人が必要になります。
・不動産の処分
認知症などで意思表示ができない場合、不動産を売却するなどの法律行為を行うことができません。
持ち主以外の人が売却手続きをすることはできず、後見人がつくことがあります。
・認知症がある親を遠距離から介護する場合
緊急時にすぐに駆け付けられない、日常の手続きや支払いなどを手伝うことができないときに、
親のそばでサポートする支援者(後見人)が必要です。緊急入院や介護施設等に緊急入所するときの
対応も必要です。
・認知症のよる詐欺被害・浪費の防止
特にひとり暮らしの場合、詐欺にあったり高価なものを買い込んで浪費したりすることを防ぐために
後見人をつけることが選択肢の一つになります。
・知的、精神障害がある方の将来への対策
障害のある方の世話をしている親や親族が入院したり、要介護者となったり亡くなったりした場合でも、
本人が困らないよう支援が必要です。
認知症や知的・精神障がいの症状は様々ですから、こうした全ての場面で後見人が必要というわけではありません。その方の判断能力の程度と支援者の有無、生活上の支障から制度の利用を考えていくことになります。